最善であれ

生きてりゃいろいろありますが、常に最善でありたい。

幸せの感じ方

朝、家を出てふと見た空が青いとか

昼、会社の窓を開けたらそよ風が舞い込むとか

夜、ビルの谷間に大きな満月が顔を覗かせているとか

目の前にあるささやかなことが幸せな気持ちにしてくれているのに

人はどうしてまだ見ぬ幸せを追い求めるのか

雨に濡れた髪を拭いてくれたあなた

一口食べる?とアイスクリームのスプーンをさしだしてくれたあなた

二人で並んで歩いているといつも人差し指を握ってくるあなた

目の前にあるささやかなことが幸せな気持ちにしてくれているのに

人はどうして幸せに物足りなさを感じるのか

自宅へと続く並木道
あまりにお腹がすいたのでカレーパンを食べながらふとそんなことを思った。

あの日の海

あの日

君はどうして僕を海へ誘ったんですか?

生まれて初めてでした

「海に行こう」と誘われたこと。。。

あの日

君はどうして僕を海へ誘ったんですか?

夏にはまだ少し早いのに

君は履いてきたスニーカーを脱いで波に素足を浸していました

あの日

君はどうして僕を海へ誘ったんですか?

波打ち際を音を立てながら歩いて

いつまでも嬉しそうに戯れていましたね

あの日

「どこかに行きたいな・・・私のことなんか誰も知らない場所へ」

君はそう呟いたけど

いったい何があったんですか?

あの日

電車の中で君はどうして僕にもたれかかったんですか?

そんなことする君じゃなかったのに

駅に到着するまでずっとそうしてましたね

あの日から

僕は君と会っていない

電話もメールも何もつながらなくなりましたね

僕は君に片思いをしていました

出会ったときからずっとね

僕はそのことを君に気付かれないよう平然としてたけど

こんなことなら、、、って今更思ったりもしています

君に誘われた海は今でも忘れることができません

空と海が交わる境界線を見ると君を思い出します

タイミング

僕たちはあまりに多くのことを想いすぎる

それを歌に委ねたり映画に重ねてみるけれど

手触りも大きさもわからないこの想い

手ごろな値札をぶら下げた未来がいつも手招きをしている

大人になって何が変わったかと言えば

チャイムの音が鳴らなくなったことかな

気持ちを切り替えるタイミングがどんどん減っていく

引きずるものは増えていくのに

湯気

浴室の換気を忘れた

湯船につかってじっとしていたら

ポタリと水が落ちてきた

天所を見上げたらいくつもの水滴

しばらくするとまたポタリ

僕の中でも何かがいつもポタリと落ちていく

体育の授業

土砂降りの日
泥だらけになってやったサッカー

高校の体育の授業の中でも特に覚えている

いつも以上に走り回って
わざと滑り込んで
勝とか負けるとかどうでもよくて
ただ汚れて楽しんでいた

身なりなどどうでもよくなった時
僕たちは一つになっていた

ぬかるんだグランドではボールは思うように転がらない
雨がどんどんきつくなって前があまり見えなくなっても
誰一人 そして先生すら止めようともせず
転がらないボールをルールも関係なく蹴り飛ばした
上手い奴も下手な奴も関係なかった
試合が終わったらみんな満足そうな顔をしていた

土砂降りの日
バカなことを全力でやった体育の授業

次の数学はあまりにつまらなくて何も覚えていない

嘲笑

誰かに打ち明けたい秘密もなくて
誰かに癒されたい傷もない

強いと言われても
弱いと言われても
素直になれないのはなぜだろう

同じ場所にいるのに
こんな近くにいるのに
ちぐはぐになるのはなぜだろう

寂しがり屋のくせに
一人でいることを望み
深呼吸したいのに
気づけば息を殺している

空気は吸うのではなく読むものなのか
陽射しはあびるのではなく避けるものなのか

人は人に何を求めるのか
自分を見てほしいだけなのか
先に行かれても付いてきてくれなくても寂しくて
同じ歩調同じ目線で過ごせる人に安心する

何気なく見上げた空は
いつも嘲笑っているようだ

世界

一緒にいたいと思えば思うほど突然別れは訪れて

世界はこんなに狭いのにその別れは永遠にすら感じてしまう

二度と会いたくないと思えば思うほど必然のように同じ場所にいて

世界はこんなに広いのにその時間は永遠にすら感じてしまう

この世界の大きさはどれが一番ただしいのだろう

ひたすら時間は進み後戻りも許されず

早まることも遅れることもなくただ着実に未来へと向かうのに

僕たちは空間の中をいったりきたりとしながら

次への一歩を踏み出せずただ見渡せる安全な場所に留まっている

ならば歩くしかない

いらないものはその場に置いてできるだけ身軽になって

新しいものは道端に落ちている

誰も気づかないところに落ちている

立ち止まりしゃがみこんだりしながらもただ歩くしかない

世界は狭く世界は広い